革の性格
ここで、興味深い情報がある。革の取材をすすめていて、ある職人が教えてくれたのは、
「世界的に有名なブランドはね、一枚の革から個のバッグしか作らないんだよ。繊維の方向性、丈夫さ、美しさなどを考えると、どうしてもその結論になる。親子何代にわたってもゆがまずに愛用するには、それしかない」
ということ。革は繊維が背中から放射線状に流れている特性があり、「ゆがまない」構造で作るには、切り出す部位がものをいうことがわかる。
しかし、そのような素材使いをしていては、一般には手が届かない価格帯になってしまう。商品と価格が見合っており、手が届く範囲で丈夫な革アイテムを手に入れるには、きちんとした職人が責任をもって作っているメーカーのものを選べばいいのだ。使っていくうちに伸びてしまったという経験がある人も少なくないはず。これは腹あたりの革を使って作られたという原因も考えられる。また、職人が気にするのは革のパーツだけではない。それに合った縫い目、糸選びも大切になってくる。多くのレザーアイテムは、試行錯誤から生まれたベストな部位から取ったパーツを使って作られている。このことを知ると、より一層、手持ちのアイテムが愛おしくなってくるから不思議だ。
革製品の革使い
革は加工しやすいように背中から左右対称に切って使われる。これを「背割り」という。これは加工前の牛の一枚革。丸革ともいわれる。
背(Back):最も丈夫で知られ繊維の密度が高い
加工の段階で均一の厚さに削ってあるが、背部分の繊維の密度は高い。腹部分と比べると重さがありしっかりしている。ここはバッグにしても伸びにくくゆがみにくいので、底やサイド部分などに使われることが多い。
腹(Belly):柔らかく重さが軽いのが特徴
柔らかく重さも軽く、加工しやすいが伸びてしまうのが難点。そこで、バッグの内張りに使われたり、靴の中敷に使われることもある。腹部分のエッジ部分は、本当に柔らかいためほとんど使用されない。
脚(Leg):強度があり繊維の密度に特徴が
脚には前足、後ろ足があり、厚みもあり加工に適している。前足、後ろ足、それぞれ繊維の密度に特徴があり、後ろ足のほうが繊維密度が高い。バッグの持ち手やサイフなどの小物の加工に使われる。







